歯科コラム

虫歯の初期症状とは?削らずに治す治療法と早期発見のポイント

「あれ?歯がしみる…」それ、初期虫歯かもしれません

「最近ちょっと歯がしみる」「鏡で見たら歯が白く濁ってる気がする」──
そんなささいな変化、放っていませんか?

実はそれ、初期虫歯のサインかもしれません。

虫歯は、早い段階で気づけば「削らずに治せる」こともあります。
逆に放置すると、神経の治療や抜歯が必要になるケースも……。

まずは以下のチェックリストで、あなたの歯の状態を確認してみてください。
1つでも当てはまれば、早めの受診をおすすめします。

初期虫歯セルフチェック項目

以下のうち、1つでも当てはまれば初期虫歯の可能性があります。
症状が軽いうちに対応すれば、削らずに済むこともあります。

  • 冷たいもの・甘いものがしみる
  • 歯の表面が白っぽく濁って見える
  • フロスや歯間ブラシが引っかかる
  • 歯と歯の間が黒く見える
  • 歯にザラつきや引っかかる感じがある

該当する場合は、早めの歯科受診をおすすめします。

虫歯の進行段階(C0〜C4)と、初期虫歯の特徴

虫歯の進行はC0〜C4の5段階に分類されます。このうち、C0〜C1は「初期虫歯」と呼ばれる段階で、削らずに治せる可能性がある重要な時期です。

C0|ごく初期の虫歯(要観察)

歯の表面に白い濁りが出る状態。痛みはないので自覚症状はありません。適切な歯磨きやフッ素ケアを行うことで再石灰化できる可能性があります。

C0|ごく初期の虫歯(要観察)

C1|エナメル質の虫歯

表面に小さな穴が開き始め、冷たいものがしみることも。この段階なら、削らずにレジン充填などで済むことが多いです。

C1|エナメル質の虫歯

C2

象牙質まで進行。痛みが強まり、治療が必要に。

C2

C3

神経に達して激しい痛みが出る段階です。この場合は、根管治療(神経の処置)が必要になります。
詳しくはこちらをご覧ください→(当院の根管治療について

C3

C4

歯冠が崩壊し、抜歯が必要になることも。インプラントなどで歯の機能を補う必要があります。

C4

初期の虫歯を発見するには?

虫歯は早期発見が何よりも大切です。以下のような方法で定期的にチェックすることをおすすめします。

フロスでの確認

歯と歯の間にフロスを通したとき、途中で引っかかったり、糸がほつれることはありませんか?
これは、歯の間にあるごく小さな虫歯(C1など)や歯石、詰め物の劣化が原因の可能性があります。

特に、毎回同じ場所で引っかかる・切れるようであれば、目に見えない虫歯の初期症状かもしれません。

セルフチェック

毎日のセルフチェックで、症状や変化があれば虫歯の可能性があります。歯の表面に白い濁りや斑点が見える、奥歯の溝に黒ずみが出てきたなどの場合は、まだ痛みを感じない段階でも虫歯が始まっている証拠かもしれません。違和感を覚えたら、放置せず歯科医院でのチェックをおすすめします。

定期検診

もっとも確実な方法が、歯科医院での定期検診です。

定期健診では、虫歯だけでなく歯周病や噛み合わせなども含めた総合的な口腔チェックを行っています。歯科医師と歯科衛生士が連携し、小さな異変も見逃さない体制を整えています。

また、定期検診では歯のクリーニング(PMTC)やブラッシング指導も同時に実施し、虫歯の予防と早期治療を一貫してサポートしています。ご自身では見つけられない初期虫歯も、プロのチェックでしっかり確認できます。

初期の虫歯の治療方法

フッ素塗布で歯の再石灰化を促す

初期の虫歯(C0〜C1)では、まだ歯に穴があいておらず、表面のエナメル質がわずかに脱灰している段階です。この状態であれば、フッ素塗布によって歯の再石灰化が促進され、歯の表面が自然に修復される可能性があります。フッ素には、歯の質を強くし、虫歯菌の働きを抑える効果もあるため、定期的な塗布は虫歯予防にも有効です。

シーラントで虫歯の進行を防ぐ

シーラントとは、奥歯の溝など汚れがたまりやすい部分にあらかじめ樹脂を流し込んでふさぎ、虫歯の進行を防ぐ予防処置です。特に乳歯や生えたばかりの永久歯は溝が深く、ブラッシングだけでは汚れを落としきれないこともあります。初期の虫歯がある場合でも、シーラントを施すことで細菌の侵入を防ぎ、それ以上の進行を抑えることができます。痛みもなく短時間で済むため、小児の虫歯予防としても効果的です。

PMTC

PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)は、歯科衛生士が専用の機器とペーストを用いて行う、専門的な歯のクリーニングです。毎日の歯磨きでは落としきれない歯垢やバイオフィルム、着色汚れを徹底的に除去し、虫歯や歯周病のリスクを大幅に減らします。特に初期の虫歯や再石灰化を促すケアの一環として有効で、定期的に行うことで口腔内の健康維持につながります。見た目の美しさだけでなく、予防の観点からも重要な処置です。

適切な歯磨き

歯並びや生活習慣に合わせたオーダーメイドの歯磨き指導を行うことで、セルフケアの質もアップします。適切な歯磨きは、虫歯や歯周病を予防するうえで最も基本的で重要な習慣です。ポイントは「歯と歯ぐきの境目」を意識し、毛先をしっかり当てて小刻みに動かすこと。力を入れすぎず、1本1本丁寧に磨くのがコツです。歯ブラシだけでは届きにくい歯と歯の間は、フロスや歯間ブラシも併用しましょう。1日2〜3回、最低でも朝晩の歯磨きを心がけ、時間をかけてしっかりお手入れすることが大切です。

「初期虫歯かな?」と思ったら、早めの受診が安心です

虫歯は放っておくと確実に進行する病気です。そして、痛みが出たときには、すでにC2以上へ進行しているケースも少なくありません。
C0・C1の段階なら、削らずに済む・通院回数が少なく済むなど、身体的・経済的な負担を軽減できる可能性があります。「ちょっとしみるかも」「白く濁った部分がある」と感じたら、痛みが出る前に一度検査を受けてみてください。

関連記事